第60回日本化学療法学会学術集会 [学会参加報告]
4月26日と27日の2日間、長崎のブリックホールで
学会に参加してきました。
2年ぶりで、またまた、長崎でした。
抗菌化学療法認定薬剤師を目指す薬剤師も増えたのか、
薬剤師関連のセッションも増えていました。
内容は、もう少し突っ込んだ内容を聞きたかったところです。
初学者よりの内容に感じました。
しかし、長崎は遠かったです。
そして、お土産は3種類。
もちろん、カステラと長崎物語と先日テレビで見たコレ。
次の学会は、6月のTDM学会(神戸)の予定です。
学会に参加してきました。
2年ぶりで、またまた、長崎でした。
抗菌化学療法認定薬剤師を目指す薬剤師も増えたのか、
薬剤師関連のセッションも増えていました。
内容は、もう少し突っ込んだ内容を聞きたかったところです。
初学者よりの内容に感じました。
しかし、長崎は遠かったです。
そして、お土産は3種類。
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次の学会は、6月のTDM学会(神戸)の予定です。
タグ:日本化学療法学会 長崎
第26回日本環境感染学会総会に参加します [学会参加報告]
第26回日本環境感染学会総会
2011年2月18日19日とパシフィコ横浜で上記学会があります。
一昨年に化学療法学会の認定単位を取るためにここに来ましたが、
また同じ場所に来ました。
仕事を半日で切り上げて、明日は朝一番から頑張って参加しよう
と思います。
感染制御に興味は薄いのですが、先進的な病院はどんなことを
しているのか、しっかり勉強してこようと思います。
面白いネタを得ることができれば、書きとめておこうと思います。
ホテルが取れなくて、ダブルのシングルユースにしましたが、
ちょっと広いわぁ。。。
どっち向きでも寝れそうです(笑)
ジェットバスまでありました。。。
ラブホかよ
横浜のお土産って、やっぱりコレがいいかなぁ
さて、頑張ろう!
2011年2月18日19日とパシフィコ横浜で上記学会があります。
一昨年に化学療法学会の認定単位を取るためにここに来ましたが、
また同じ場所に来ました。
仕事を半日で切り上げて、明日は朝一番から頑張って参加しよう
と思います。
感染制御に興味は薄いのですが、先進的な病院はどんなことを
しているのか、しっかり勉強してこようと思います。
面白いネタを得ることができれば、書きとめておこうと思います。
ホテルが取れなくて、ダブルのシングルユースにしましたが、
ちょっと広いわぁ。。。
どっち向きでも寝れそうです(笑)
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ラブホかよ
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さて、頑張ろう!
CDAD治療薬について [Clostridium difficile]
治療を開始する前に、発症の原因となった抗菌薬の投与を可能な限り中止することが重要である。
CDAD治療薬として用いられるのは、塩酸バンコマイシンおよびメトロニダゾールの内服で、両薬剤の有効率はいずれも90%以上とほぼ同等であり、3日以内に症状の改善が期待できる。
海外では両薬剤の効果に有意な差がないこと、安価なことやVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)の危険性を考慮してメトロニダゾールの内服が第1選択となっている。
しかしながら、日本においてメトロニダゾールの内服は適応がないため第1選択としての使用は注意が必要である。
経口バンコマイシンの投与量
1回125mg(1/4バイアル) 1日4回 10~14日間
重症の場合には:症状により用量を考慮)
1回250mg(1/2バイアル)
1回500mg( 1バイアル) 1日4回 10~14日間
経口メトロニダゾールの投与量
1回250mg(1錠) 1日4回 10~14日間
あるいは
1回500mg(2錠) 1日3回 10~14日間
経口バンコマイシン
長所:良好な効果,耐性なし
短所:再燃,再感染率が高い。VREが出現する可能性あり。効果。
経口メトロニダゾール
長所:バンコマイシンと同等の効果。IDSA/CDC/SHEAにより推奨。安価。
短所:in vitro で耐性を示すものが少数あり、いくつかの報告でバンコマイシンより効果が劣るとされている。再燃あり。
両薬剤の相違点として、経口バンコマイシンはほとんど吸収されないのに対して経口メトロニダゾールは上部消化管より容易に吸収されるため(バイオアベイラビリティは100%)、嘔気などの副作用に注意する必要がある。
その他に経口メトロニダゾールは、禁忌事項として血液疾患患者,脳・脊髄に器質的疾患を有する患者,妊娠3ヶ月以内の患者となっているため、患者背景についても考慮する必要がある。そして腎不全時には減量も必要。
再発には、治療で排除できなかった消化管内のC.difficile により症状が引き起こされる再燃と、新しい菌株を獲得することによって再び発症する再感染がある。
一旦攪乱された腸内フローラが回復するには2~3か月間必要とも言われており、その間は、再びCDADを発症しやすい状態にあるので、バンコマイシンあるいはメトロニダゾール内服終了後2カ月間は、再燃あるいは再感染の可能性が高いことを考慮して、抗菌薬の使用や下痢症状には注意が必要である。
当院は感染症科の無い一般病院ですから、メトロニダゾールを推奨することはできません。処方が出れば、あぁCDかぁ、ということで目をつむって調剤している現状です。抗菌化学療法でよく遭遇する理想と現実の一つですね。。。
今日子供がインフルエンザで熱発し、早速受診したところA型でした。リレンザをもらってきていました。11月にワクチンを打ったのですが、空振りでしょうか。
しかしマスクも高いですねぇ。
CDAD治療薬として用いられるのは、塩酸バンコマイシンおよびメトロニダゾールの内服で、両薬剤の有効率はいずれも90%以上とほぼ同等であり、3日以内に症状の改善が期待できる。
海外では両薬剤の効果に有意な差がないこと、安価なことやVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)の危険性を考慮してメトロニダゾールの内服が第1選択となっている。
しかしながら、日本においてメトロニダゾールの内服は適応がないため第1選択としての使用は注意が必要である。
経口バンコマイシンの投与量
1回125mg(1/4バイアル) 1日4回 10~14日間
重症の場合には:症状により用量を考慮)
1回250mg(1/2バイアル)
1回500mg( 1バイアル) 1日4回 10~14日間
経口メトロニダゾールの投与量
1回250mg(1錠) 1日4回 10~14日間
あるいは
1回500mg(2錠) 1日3回 10~14日間
経口バンコマイシン
長所:良好な効果,耐性なし
短所:再燃,再感染率が高い。VREが出現する可能性あり。効果。
経口メトロニダゾール
長所:バンコマイシンと同等の効果。IDSA/CDC/SHEAにより推奨。安価。
短所:in vitro で耐性を示すものが少数あり、いくつかの報告でバンコマイシンより効果が劣るとされている。再燃あり。
両薬剤の相違点として、経口バンコマイシンはほとんど吸収されないのに対して経口メトロニダゾールは上部消化管より容易に吸収されるため(バイオアベイラビリティは100%)、嘔気などの副作用に注意する必要がある。
その他に経口メトロニダゾールは、禁忌事項として血液疾患患者,脳・脊髄に器質的疾患を有する患者,妊娠3ヶ月以内の患者となっているため、患者背景についても考慮する必要がある。そして腎不全時には減量も必要。
再発には、治療で排除できなかった消化管内のC.difficile により症状が引き起こされる再燃と、新しい菌株を獲得することによって再び発症する再感染がある。
一旦攪乱された腸内フローラが回復するには2~3か月間必要とも言われており、その間は、再びCDADを発症しやすい状態にあるので、バンコマイシンあるいはメトロニダゾール内服終了後2カ月間は、再燃あるいは再感染の可能性が高いことを考慮して、抗菌薬の使用や下痢症状には注意が必要である。
当院は感染症科の無い一般病院ですから、メトロニダゾールを推奨することはできません。処方が出れば、あぁCDかぁ、ということで目をつむって調剤している現状です。抗菌化学療法でよく遭遇する理想と現実の一つですね。。。
今日子供がインフルエンザで熱発し、早速受診したところA型でした。リレンザをもらってきていました。11月にワクチンを打ったのですが、空振りでしょうか。
しかしマスクも高いですねぇ。
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C.difficile が産生するトキシン [Clostridium difficile]
C.difficile が産生するトキシン
Toxin A :腸管毒素 enterotoxin 臨床的にもっとも病原性に関与するとされている。
Toxin B :細胞毒素 cytotoxin
※以前、毒素産生株は Toxin A と B両方の毒素を産生するとされていたが、近年 Toxin A-Toxin B+ が報告されている。日本でも散発的に集団発生事例が見られている。
Binary toxin :第3の Toxin といわれる。近年、北米,欧州で流行している菌株はこの毒素を産生する。しかし、このToxinの病原性についてはまだ良くわかっていない。
※ BI/NAP1/027 株 は、高齢者を中心に欧米で流行し、重篤な合併症を呈したり、死亡率が6.9%と高いことが知られており、Binary toxin を産生する。
通常より病原性が強い理由として、tcd A,tcd B に負の調節機能を持つ遺伝子 tcd C に一部欠失があることから毒素の産生量が多いことが挙げられている。
Toxin A :腸管毒素 enterotoxin 臨床的にもっとも病原性に関与するとされている。
Toxin B :細胞毒素 cytotoxin
※以前、毒素産生株は Toxin A と B両方の毒素を産生するとされていたが、近年 Toxin A-Toxin B+ が報告されている。日本でも散発的に集団発生事例が見られている。
Binary toxin :第3の Toxin といわれる。近年、北米,欧州で流行している菌株はこの毒素を産生する。しかし、このToxinの病原性についてはまだ良くわかっていない。
※ BI/NAP1/027 株 は、高齢者を中心に欧米で流行し、重篤な合併症を呈したり、死亡率が6.9%と高いことが知られており、Binary toxin を産生する。
通常より病原性が強い理由として、tcd A,tcd B に負の調節機能を持つ遺伝子 tcd C に一部欠失があることから毒素の産生量が多いことが挙げられている。
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CDADの発症機序と症状 [Clostridium difficile]
CDADの発症機序
1.抗菌薬などによる腸内細菌叢の撹乱
2.毒素産生性の C.difficile によるコロナイゼーション(定着)
3.toxin A 及び(もしくは)B の産生に伴う局所炎症反応による標的細胞の変化
4.粘膜の障害と炎症
以上の経過を経て発症するものとされている。
CDADの症状
抗菌薬治療開始5~10日後に発症することが多い。
しかし、抗菌薬投与初日に発症したり、終了10週間後に発症することもある。
軽症・中等症:軽い下痢,水様性下痢,腹痛,発熱
重 症 :血性下痢,激しい腹痛,腹部の圧痛,偽膜性腸炎,腸捻転,蛋白漏出性腸炎
最 重 症 :トキシックメガコロン(閉塞機転のない結腸の急速な拡張;>6cm 死亡率64%),腸穿孔
白血球上昇:通常15,000前後。類白血病反応がみられることが有。
再燃:約20%にみられる
鑑別診断:細菌性腸炎(特にサルモネラ),薬剤性腸炎,虚血性腸炎,炎症性腸疾患など
1.抗菌薬などによる腸内細菌叢の撹乱
2.毒素産生性の C.difficile によるコロナイゼーション(定着)
3.toxin A 及び(もしくは)B の産生に伴う局所炎症反応による標的細胞の変化
4.粘膜の障害と炎症
以上の経過を経て発症するものとされている。
CDADの症状
抗菌薬治療開始5~10日後に発症することが多い。
しかし、抗菌薬投与初日に発症したり、終了10週間後に発症することもある。
軽症・中等症:軽い下痢,水様性下痢,腹痛,発熱
重 症 :血性下痢,激しい腹痛,腹部の圧痛,偽膜性腸炎,腸捻転,蛋白漏出性腸炎
最 重 症 :トキシックメガコロン(閉塞機転のない結腸の急速な拡張;>6cm 死亡率64%),腸穿孔
白血球上昇:通常15,000前後。類白血病反応がみられることが有。
再燃:約20%にみられる
鑑別診断:細菌性腸炎(特にサルモネラ),薬剤性腸炎,虚血性腸炎,炎症性腸疾患など
Clostridium difficile 関連下痢症 (1) [Clostridium difficile]
抗菌薬が全身投与されると腸内の正常細菌叢が破綻し、Clostridium difficile 関連下痢症(Clostridium difficile-associated disease;CDAD )が起こる。
Clostridium difficile は、偏性嫌気性グラム陽性桿菌で芽胞を有しており、成人で2%、老人で10~20%、乳幼児では最大50%に無症候性の腸内菌叢集落を形成する。
※消化管保有率の報告はさまざま有り一定でない。
芽胞を形成することから各種消毒薬に抵抗性であり、環境表面に約5ヶ月は生存するとされている。
CDADは、抗菌薬の使用1~2週間後に下痢、発熱、腹痛を伴い、まれに1~2ヶ月後でも発症することがある。
CDADだけでなく、抗菌薬が全身投与された場合には腸内の正常細菌叢が破綻し、炭水化物の分解が障害され腸内の浸透圧上昇や水分の再吸収阻害により下痢を生じるため、抗菌薬使用下においては抗菌薬関連の下痢、とくにCDADに注意する必要がある。
また、CDAD発症の患者側のリスク因子には、入院期間の延長や高齢者、経管栄養の施行やH2受容体拮抗薬や抗菌薬の使用が考えられる。
CDAD発症のリスクは、ほとんどすべての抗菌薬が有しているが、リスクの大きさは抗菌薬により違いがある。
CDADの原因になりやすい抗菌薬
・セファロスポリン系(特に第2,第3世代)
・アンピシリン,アモキシシリン(その他のペニシリン)
・クリンダマイシン
・エリスロマイシンなどのマクロライド系
・テトラサイクリン系
・フルオロキノロン系
・ST合剤
CDADの原因となりにくい抗菌薬
・メトロニダゾール
・アムホテリシンB
・アミノグリコシド
・リファンピシン
・バンコマイシン
・サルファ剤
・β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン
CDAD発症の危険因子(まとめ)
1.抗菌薬の長期投与,大量投与,多種類投与(以前はクリンダマイシン,セフェム系が、近年ではフルオロキノロン)
2.長期入院
3.高齢者
4.制酸剤・H2ブロッカー投与
5.消化管手術
6.内視鏡検査
7.抗蠕動薬投与
8.その他:低アルブミン血症,抗がん剤の投与など
CDADは院内でも継続的に起こっていますが、やはり腹部外科領域でその発生頻度が高いようです。どの施設でも一定の傾向があるのではないかと思いますが、CDADの管理はまず取り組むべき重要な課題の一つだと考えています。
Clostridium difficile は、偏性嫌気性グラム陽性桿菌で芽胞を有しており、成人で2%、老人で10~20%、乳幼児では最大50%に無症候性の腸内菌叢集落を形成する。
※消化管保有率の報告はさまざま有り一定でない。
芽胞を形成することから各種消毒薬に抵抗性であり、環境表面に約5ヶ月は生存するとされている。
CDADは、抗菌薬の使用1~2週間後に下痢、発熱、腹痛を伴い、まれに1~2ヶ月後でも発症することがある。
CDADだけでなく、抗菌薬が全身投与された場合には腸内の正常細菌叢が破綻し、炭水化物の分解が障害され腸内の浸透圧上昇や水分の再吸収阻害により下痢を生じるため、抗菌薬使用下においては抗菌薬関連の下痢、とくにCDADに注意する必要がある。
また、CDAD発症の患者側のリスク因子には、入院期間の延長や高齢者、経管栄養の施行やH2受容体拮抗薬や抗菌薬の使用が考えられる。
CDAD発症のリスクは、ほとんどすべての抗菌薬が有しているが、リスクの大きさは抗菌薬により違いがある。
CDADの原因になりやすい抗菌薬
・セファロスポリン系(特に第2,第3世代)
・アンピシリン,アモキシシリン(その他のペニシリン)
・クリンダマイシン
・エリスロマイシンなどのマクロライド系
・テトラサイクリン系
・フルオロキノロン系
・ST合剤
CDADの原因となりにくい抗菌薬
・メトロニダゾール
・アムホテリシンB
・アミノグリコシド
・リファンピシン
・バンコマイシン
・サルファ剤
・β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン
CDAD発症の危険因子(まとめ)
1.抗菌薬の長期投与,大量投与,多種類投与(以前はクリンダマイシン,セフェム系が、近年ではフルオロキノロン)
2.長期入院
3.高齢者
4.制酸剤・H2ブロッカー投与
5.消化管手術
6.内視鏡検査
7.抗蠕動薬投与
8.その他:低アルブミン血症,抗がん剤の投与など
CDADは院内でも継続的に起こっていますが、やはり腹部外科領域でその発生頻度が高いようです。どの施設でも一定の傾向があるのではないかと思いますが、CDADの管理はまず取り組むべき重要な課題の一つだと考えています。
腎機能障害時のTEIC投与法の目安 [テイコプラニン]
TEICもグリコペプチド系の抗菌薬で腎排泄性の高い薬剤です。
今回も透析患者における当院での基本的な投与法を紹介します。
透析患者のTEICの投与法の目安
テイコプラニン(TEIC)
HD( High performance membrane を使用しているHD)
・初回負荷量16mg/kg(1回もしくは2回にわけて)
次いで8mg/kg/dayを2回
維持量6-8mg/kgを週2-3回HD後に投与
その他の報告例
・初回負荷量800mg,2・3日目は400mg,4日目以降は透析後に200mg又は5日毎に400mg投与
・初回負荷量800mg,5日目に400mg,10日目に400mg,以後は1週間おきに400mg
・重症敗血症には初回負荷量800mg,2・3・5日目に400mg,以後は1週間おきに400mg
・初回負荷量400mg,2・3日目は200mg量,4日目以降は5日毎に200mg投与するか1日量を1/5に減ずる。ただし、敗血症では初回負荷量800mg,2・3日目は400mg量,4日目以降は5日毎に400mg投与するか1日量を1/5に減ずる
参考:透析患者への投薬ガイドブック 改訂2版 2009
その他の報告例は、投与量不足となるのではないかと考えています。TEICの場合は、血中濃度を有効域に到達させるのにどうしても時間がかかるという欠点があるため、治療を急ぐ敗血症などには適さないと考えています。
正常腎機能では初日1200mg負荷や、800mgの2日間ローディングを行うような薬剤です。透析患者でも同様にしっかりローディングを行わないと治療不足となり、膿瘍形成など悲しい結果を招きます。VCMに比して腎機能障害のリスクもあまり無く、トラフ値が上昇しても肝障害のほうが多いように感じています。
いずれにしても、初期にしっかり投与し、あとは血中濃度を見ながら減量していく方向での微調節が良いように感じています。
当院では、使用頻度の少ない薬剤で、検査部の方針で血中濃度測定が外注となってしまいました。余計に使用しにくい抗MRSA薬となってしまいました。
透析患者への薬物投与量を考えるのには必携の一冊です。
今回も透析患者における当院での基本的な投与法を紹介します。
透析患者のTEICの投与法の目安
テイコプラニン(TEIC)
HD( High performance membrane を使用しているHD)
・初回負荷量16mg/kg(1回もしくは2回にわけて)
次いで8mg/kg/dayを2回
維持量6-8mg/kgを週2-3回HD後に投与
その他の報告例
・初回負荷量800mg,2・3日目は400mg,4日目以降は透析後に200mg又は5日毎に400mg投与
・初回負荷量800mg,5日目に400mg,10日目に400mg,以後は1週間おきに400mg
・重症敗血症には初回負荷量800mg,2・3・5日目に400mg,以後は1週間おきに400mg
・初回負荷量400mg,2・3日目は200mg量,4日目以降は5日毎に200mg投与するか1日量を1/5に減ずる。ただし、敗血症では初回負荷量800mg,2・3日目は400mg量,4日目以降は5日毎に400mg投与するか1日量を1/5に減ずる
参考:透析患者への投薬ガイドブック 改訂2版 2009
その他の報告例は、投与量不足となるのではないかと考えています。TEICの場合は、血中濃度を有効域に到達させるのにどうしても時間がかかるという欠点があるため、治療を急ぐ敗血症などには適さないと考えています。
正常腎機能では初日1200mg負荷や、800mgの2日間ローディングを行うような薬剤です。透析患者でも同様にしっかりローディングを行わないと治療不足となり、膿瘍形成など悲しい結果を招きます。VCMに比して腎機能障害のリスクもあまり無く、トラフ値が上昇しても肝障害のほうが多いように感じています。
いずれにしても、初期にしっかり投与し、あとは血中濃度を見ながら減量していく方向での微調節が良いように感じています。
当院では、使用頻度の少ない薬剤で、検査部の方針で血中濃度測定が外注となってしまいました。余計に使用しにくい抗MRSA薬となってしまいました。
透析患者への薬物投与量を考えるのには必携の一冊です。
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腎機能障害時のVCM投与法の目安 [塩酸バンコマイシン]
グリコペプチド系の抗菌薬はいずれも腎排泄性の高い薬剤です。
今回は透析患者における当院での基本的な投与法を紹介します。
透析患者のVCMの投与法の目安
塩酸バンコマイシン(VCM)
HD( High performance membrane を使用しているHD)
・初回1000mg投与(HD・非HD日に係わらず)
・2回目以降、透析後毎に500mg
・血中濃度評価は透析前濃度(トラフ値)を測定する
・透析後血中濃度測定は信頼性が低い(組織分布が落ち着くまでに2時間程度要するため)
上記、投与法を基本としています。この投与法により、トラフ値10-15μg/mLをキープできることが多いです。
そして、残存腎機能の有無がポイントになります。いずれにしても血中濃度測定による確認は必要です。
残存腎機能がある(自尿がある)場合には、透析前トラフ値を10-15μg/mLになるように調節します。しかし、腎機能の廃絶した(自尿の無い)場合には、トラフ値を考慮する必要は無く、トラフ値を20μg/mL前後になるようにしています。
血中濃度測定のタイミングは、投与3回目(1000mg・500mg投与後)あるいは4回目(1000mg・500mg・500mg投与後)の前に測定し、以後、1週間毎程度にしています。
その他の投与法として、1500mg週1回という方法もあります。この投与法でも良いのですが、day5~day6あたりの血中濃度は低い値で推移していることが予測されるため推奨していません。印象としてですが、血中濃度を揺らす方が効果が良いように感じています。
しかし、基本的に透析患者は免疫能が落ちていますし、糖尿病合併例が多いため、長期投与となる場合が多くなります。
今回は透析患者における当院での基本的な投与法を紹介します。
透析患者のVCMの投与法の目安
塩酸バンコマイシン(VCM)
HD( High performance membrane を使用しているHD)
・初回1000mg投与(HD・非HD日に係わらず)
・2回目以降、透析後毎に500mg
・血中濃度評価は透析前濃度(トラフ値)を測定する
・透析後血中濃度測定は信頼性が低い(組織分布が落ち着くまでに2時間程度要するため)
上記、投与法を基本としています。この投与法により、トラフ値10-15μg/mLをキープできることが多いです。
そして、残存腎機能の有無がポイントになります。いずれにしても血中濃度測定による確認は必要です。
残存腎機能がある(自尿がある)場合には、透析前トラフ値を10-15μg/mLになるように調節します。しかし、腎機能の廃絶した(自尿の無い)場合には、トラフ値を考慮する必要は無く、トラフ値を20μg/mL前後になるようにしています。
血中濃度測定のタイミングは、投与3回目(1000mg・500mg投与後)あるいは4回目(1000mg・500mg・500mg投与後)の前に測定し、以後、1週間毎程度にしています。
その他の投与法として、1500mg週1回という方法もあります。この投与法でも良いのですが、day5~day6あたりの血中濃度は低い値で推移していることが予測されるため推奨していません。印象としてですが、血中濃度を揺らす方が効果が良いように感じています。
しかし、基本的に透析患者は免疫能が落ちていますし、糖尿病合併例が多いため、長期投与となる場合が多くなります。
抗菌化学療法認定薬剤師 [雑記]
師走は毎年のことですが、忙しいです。
師走は、師匠(お坊さん)が忙しくあちらこちらに走るからというのが語源だと言われていますが、いろいろ諸説あるようです。
参考に語源由来辞典はこちらです。
先生と呼ばれる人(師)は、人を良き方向へ導くことのできる人にふさわしい言葉と考えているので、私はまだまだ先生と呼ばれるには力不足ですから、先生と呼ばれてもわざと知らないふりをしたりすることもあります(笑)。
しかし、12月だけは、師がつく職業ゆえに、師走だなぁと毎年感じています。
そういえば、昨年の今頃は、忙しい中、日本化学療法学会の抗菌化学療法認定薬剤師 Infectious Disease Chemotherapy Pharmacist を取得するために、12月から勉強を始めました。
日本化学療法学会で薬剤師の認定ができると聞いて、すぐに学会に入会し、その後、学会参加、ビデオセミナー、環境感染学会でのプログラムなどに参加し、約半年で60単位を取得しました。これは大変だったです。
25症例は、これまでプレアボイド報告で自分の仕事の成果として記録を残していたので何とかなりましたが、ちょっとしたことでも書きとめてその結果を見ておかないとなかなか厳しいですね。どうしてもTDMの内容が多くなりがちでしょうが、それではダメみたいですからね。
昨年の試験範囲は、総則の第十六条に書いてあり、『 出題範囲については、特に定めないが、抗菌化学療法に関する領域から広く出題する。』 というものでした。これは、ちょっと予測困難でしたから、化学療法学会が出版している【 抗菌薬適正使用生涯教育テキスト 】を読み込みました。あとは、【 抗菌薬使用のガイドライン 】です。
次回の試験は、新しく同学会から出版された【 抗菌化学療法認定薬剤師テキスト~薬剤師が知っておきたい感染症と抗菌化学療法~ 】が試験範囲と明記されていますから、少し取っ掛かりやすいように思います。早速私も購入して読んでみましたが、もう一つ、突っ込んだ説明が欲しいところで、そこが足りていないと感じる部分もあり、結局その本一冊だけでは厳しいようにも感じました。
あと、実際に試験を受けてみて感じたことは、本当に日ごろから抗菌化学療法を仕事としてしっかりやっておかないと点が取りにくいな、というものでした。
化学療法学会の出版書籍は、一般では販売していないようですが、【 抗菌薬使用のガイドライン 】だけはネットでも買えるみたいです。
私としては、第一回目で認定取得できたことはラッキーでした。そしてこれから挑戦される方は是非頑張ってください。
最近は、癌化学療法の研修会ばかりが目立ちますが、抗菌化学療法も十分に薬剤師が活躍でき、専門性を発揮できる分野だと考えています。
師走は、師匠(お坊さん)が忙しくあちらこちらに走るからというのが語源だと言われていますが、いろいろ諸説あるようです。
参考に語源由来辞典はこちらです。
先生と呼ばれる人(師)は、人を良き方向へ導くことのできる人にふさわしい言葉と考えているので、私はまだまだ先生と呼ばれるには力不足ですから、先生と呼ばれてもわざと知らないふりをしたりすることもあります(笑)。
しかし、12月だけは、師がつく職業ゆえに、師走だなぁと毎年感じています。
そういえば、昨年の今頃は、忙しい中、日本化学療法学会の抗菌化学療法認定薬剤師 Infectious Disease Chemotherapy Pharmacist を取得するために、12月から勉強を始めました。
日本化学療法学会で薬剤師の認定ができると聞いて、すぐに学会に入会し、その後、学会参加、ビデオセミナー、環境感染学会でのプログラムなどに参加し、約半年で60単位を取得しました。これは大変だったです。
25症例は、これまでプレアボイド報告で自分の仕事の成果として記録を残していたので何とかなりましたが、ちょっとしたことでも書きとめてその結果を見ておかないとなかなか厳しいですね。どうしてもTDMの内容が多くなりがちでしょうが、それではダメみたいですからね。
昨年の試験範囲は、総則の第十六条に書いてあり、『 出題範囲については、特に定めないが、抗菌化学療法に関する領域から広く出題する。』 というものでした。これは、ちょっと予測困難でしたから、化学療法学会が出版している【 抗菌薬適正使用生涯教育テキスト 】を読み込みました。あとは、【 抗菌薬使用のガイドライン 】です。
次回の試験は、新しく同学会から出版された【 抗菌化学療法認定薬剤師テキスト~薬剤師が知っておきたい感染症と抗菌化学療法~ 】が試験範囲と明記されていますから、少し取っ掛かりやすいように思います。早速私も購入して読んでみましたが、もう一つ、突っ込んだ説明が欲しいところで、そこが足りていないと感じる部分もあり、結局その本一冊だけでは厳しいようにも感じました。
あと、実際に試験を受けてみて感じたことは、本当に日ごろから抗菌化学療法を仕事としてしっかりやっておかないと点が取りにくいな、というものでした。
化学療法学会の出版書籍は、一般では販売していないようですが、【 抗菌薬使用のガイドライン 】だけはネットでも買えるみたいです。
抗菌薬使用のガイ... 価格:3,500円(税込、送料別) |
私としては、第一回目で認定取得できたことはラッキーでした。そしてこれから挑戦される方は是非頑張ってください。
最近は、癌化学療法の研修会ばかりが目立ちますが、抗菌化学療法も十分に薬剤師が活躍でき、専門性を発揮できる分野だと考えています。
感染性胃腸炎 ノロウイルス(2) [感染性胃腸炎]
ノロウイルスの治療
治療薬は基本的には無く対症療法です。脱水がひどい場合には輸液、嘔気にはナウゼリンのような制吐剤、あとは整腸剤でしょうか。熱発は軽度ですが、あればアセトアミノフェンあたりです。
まぁ、対症療法なので水分をしっかりと摂って、あとは安静とトイレの往復です。
ノロウイルスの感染対策
第一に手洗いで、洗浄効果で洗い流すことです。食品は加熱調理(85℃1分間以上が有効)です。特にノロウイルスによる食中毒を起こす可能性があるものとして、二枚貝(牡蠣や大アサリ、シジミ、ハマグリなど)が有名です。今の季節から牡蠣を食する機会も増えますが、私は牡蠣フライしか食べれません。。。
ノロウイルスの消毒法
手指:石鹸を用いて十分な手洗いが第一。一般的にエタノールはあまり効果がないとされているが、手洗い後に速乾性の手指消毒剤の使用で追加効果が期待できる。
食品:食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば感染性は消失する。
調理台・調理器具:調理器具等は十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)で消毒する。また、まな板、包丁、食器、ふきん、タオル等は熱湯(消毒対象物が85℃1分以上になる条件)での加熱が有効とされる。哺乳びんにはミルトンというイメージがあると思います。
吐物・糞便:吐物・糞便の処理には使い捨てのマスクと手袋を着用し、汚染物のウイルスが飛び散らないように静かに拭き取る。床に付着した吐物・糞便は次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1000ppm)で拭き取る。また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂いこれが口から侵入し感染することがあるので、吐物・糞便は乾燥させないことが感染防止に重要である。
リネン類:ベッドマット、毛布、およびシーツなどのリネン類の消毒は、85℃1分間以上の熱水洗濯が適している。ただし、熱水洗濯が行えない場合には、水洗後、次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)の消毒が有効とされる。
環境:ドアノブなどの環境を介した感染も考えられ、トイレや風呂などを衛生的に保つことも要求される。消毒が必要な場合は次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)を使用する。ただし、次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性があるので、その後水拭きして除去するなどの配慮が必要となる。
ということで、とにかく key word は次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス)なのでしょうが、その刺激性やにおいが嫌われるところです。以前、消毒薬の大家の講演を聞いたときに、そのような場合には、消毒用エタノールの二度拭きが有効と聞きました。ただし、しっかり乾燥という工程が必須のようです。
家庭では、気を付けても気を付けてもうつるのがノロウイルスというイメージがあります。子供が幼稚園の頃は時に集団感染を受け、持って帰ってくることがありました。私もしっかり頂きました(-_-;)
次亜塩素酸ナトリウムが家庭ですぐに手に入らなければ塩素系漂白剤(ハイター等)でもいいのでしょうが、お店での販売形態や保管状況によって含有量に差があるようです。
家にはウエルパスがありますが、職場では高コストのため、採用を中止しました。私は4人家族なので手は8つですが、職場は大所帯、手の数を考えたら気持ち悪くなるほど手があります。
そんな中、消毒薬メーカーの丸石製薬が新しい速乾性擦式手指消毒薬の宣伝に来ました。ウエルセプトという製剤で、添加物に有機酸(乳酸・クエン酸水和物・硫酸亜鉛水和物等)を含むことで消毒効果の増強がみられるというものです。これが良いのは分かっているのですが、ウエルパスと同じでやはりコストが問題です。。。
ウエルセプトは市販されていないのかなぁ?しかし、当院の納入価に比べて市販のウエルパスはさらに高かった・・・
治療薬は基本的には無く対症療法です。脱水がひどい場合には輸液、嘔気にはナウゼリンのような制吐剤、あとは整腸剤でしょうか。熱発は軽度ですが、あればアセトアミノフェンあたりです。
まぁ、対症療法なので水分をしっかりと摂って、あとは安静とトイレの往復です。
ノロウイルスの感染対策
第一に手洗いで、洗浄効果で洗い流すことです。食品は加熱調理(85℃1分間以上が有効)です。特にノロウイルスによる食中毒を起こす可能性があるものとして、二枚貝(牡蠣や大アサリ、シジミ、ハマグリなど)が有名です。今の季節から牡蠣を食する機会も増えますが、私は牡蠣フライしか食べれません。。。
ノロウイルスの消毒法
手指:石鹸を用いて十分な手洗いが第一。一般的にエタノールはあまり効果がないとされているが、手洗い後に速乾性の手指消毒剤の使用で追加効果が期待できる。
食品:食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば感染性は消失する。
調理台・調理器具:調理器具等は十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)で消毒する。また、まな板、包丁、食器、ふきん、タオル等は熱湯(消毒対象物が85℃1分以上になる条件)での加熱が有効とされる。哺乳びんにはミルトンというイメージがあると思います。
吐物・糞便:吐物・糞便の処理には使い捨てのマスクと手袋を着用し、汚染物のウイルスが飛び散らないように静かに拭き取る。床に付着した吐物・糞便は次亜塩素酸ナトリウム0.1%(1000ppm)で拭き取る。また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂いこれが口から侵入し感染することがあるので、吐物・糞便は乾燥させないことが感染防止に重要である。
リネン類:ベッドマット、毛布、およびシーツなどのリネン類の消毒は、85℃1分間以上の熱水洗濯が適している。ただし、熱水洗濯が行えない場合には、水洗後、次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)の消毒が有効とされる。
環境:ドアノブなどの環境を介した感染も考えられ、トイレや風呂などを衛生的に保つことも要求される。消毒が必要な場合は次亜塩素酸ナトリウム0.02%(200ppm)を使用する。ただし、次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性があるので、その後水拭きして除去するなどの配慮が必要となる。
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ピューラックスなどにも使用されている次亜塩素酸ナトリウムを配合... 価格:3,800円(税込、送料別) |
ということで、とにかく key word は次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス)なのでしょうが、その刺激性やにおいが嫌われるところです。以前、消毒薬の大家の講演を聞いたときに、そのような場合には、消毒用エタノールの二度拭きが有効と聞きました。ただし、しっかり乾燥という工程が必須のようです。
家庭では、気を付けても気を付けてもうつるのがノロウイルスというイメージがあります。子供が幼稚園の頃は時に集団感染を受け、持って帰ってくることがありました。私もしっかり頂きました(-_-;)
次亜塩素酸ナトリウムが家庭ですぐに手に入らなければ塩素系漂白剤(ハイター等)でもいいのでしょうが、お店での販売形態や保管状況によって含有量に差があるようです。
家にはウエルパスがありますが、職場では高コストのため、採用を中止しました。私は4人家族なので手は8つですが、職場は大所帯、手の数を考えたら気持ち悪くなるほど手があります。
そんな中、消毒薬メーカーの丸石製薬が新しい速乾性擦式手指消毒薬の宣伝に来ました。ウエルセプトという製剤で、添加物に有機酸(乳酸・クエン酸水和物・硫酸亜鉛水和物等)を含むことで消毒効果の増強がみられるというものです。これが良いのは分かっているのですが、ウエルパスと同じでやはりコストが問題です。。。
ウエルセプトは市販されていないのかなぁ?しかし、当院の納入価に比べて市販のウエルパスはさらに高かった・・・
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感染性胃腸炎 ノロウイルス(1) [感染性胃腸炎]
この休み中の日当直者の話によると見るからに感染性胃腸炎の処方が目立ったとのことでした。
そこで国立感染症研究所 感染症情報センターの感染症発生動向調査 週報 2010年第48週を早速見てみました。
こちらです。
現在の状況についての説明が以下になります。
感染性胃腸炎は、その報告数が11月に入ると急増し、12月中(第49~52週)にピークを迎えるという流行を殆どの年で繰り返してきた。2010年は第39週以降、過去10年間の同時期の報告数としては2006年に次ぐ高い値で推移しており、その高い水準を維持したまま第42週以降継続的に増加してきており、特に第45週からは急激な増加が続いている(図1)。12月に入り、感染性胃腸炎の報告数はピークの時期を迎えつつあるものと予想される。
ということで、まだまだ続きそうです。
ノロウイルスについてちょっとおさらい。
ウィキペディアから
ノロウイルス(Norovirus)とは非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種である。カキなどの貝類による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。ノロウイルスによる集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。「NV」や「NoV」と略される。
ということですが、まぁ、問題はその強い伝播力と感染力で、わずかな摂取(10~100個程度)で感染します。さらに乾燥に非常に強いとされており、塵埃感染に注意が必要です。
潜伏期間は1~2日、主症状は嘔気、嘔吐、下痢。発熱は軽度で、腹痛、頭痛、悪寒、筋痛、咽頭痛、倦怠感などを伴うことがある。症状は全般的に軽く、通常2・3日で軽快します。
しかし、症状が消失した後も患者の糞便中からは1週間程度はウイルスが排泄されるとされており、二次感染に注意が必要で気が抜けません。
ノロといえば、これですね。
12月に入り、当院でもよく使用しています。
そこで国立感染症研究所 感染症情報センターの感染症発生動向調査 週報 2010年第48週を早速見てみました。
こちらです。
現在の状況についての説明が以下になります。
感染性胃腸炎は、その報告数が11月に入ると急増し、12月中(第49~52週)にピークを迎えるという流行を殆どの年で繰り返してきた。2010年は第39週以降、過去10年間の同時期の報告数としては2006年に次ぐ高い値で推移しており、その高い水準を維持したまま第42週以降継続的に増加してきており、特に第45週からは急激な増加が続いている(図1)。12月に入り、感染性胃腸炎の報告数はピークの時期を迎えつつあるものと予想される。
ということで、まだまだ続きそうです。
ノロウイルスについてちょっとおさらい。
ウィキペディアから
ノロウイルス(Norovirus)とは非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種である。カキなどの貝類による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。ノロウイルスによる集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。「NV」や「NoV」と略される。
ということですが、まぁ、問題はその強い伝播力と感染力で、わずかな摂取(10~100個程度)で感染します。さらに乾燥に非常に強いとされており、塵埃感染に注意が必要です。
潜伏期間は1~2日、主症状は嘔気、嘔吐、下痢。発熱は軽度で、腹痛、頭痛、悪寒、筋痛、咽頭痛、倦怠感などを伴うことがある。症状は全般的に軽く、通常2・3日で軽快します。
しかし、症状が消失した後も患者の糞便中からは1週間程度はウイルスが排泄されるとされており、二次感染に注意が必要で気が抜けません。
ノロといえば、これですね。
12月に入り、当院でもよく使用しています。
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塩酸バンコマイシンVCMのTDMの基準(3) [TDM]
2.TDM の目標値の続きです。ここからがさらに重要です。
2.TDM の目標値 つづき
e.最小発育阻止濃度(MIC)=1μg/mLの場合,有効性の指標であるArea under the curve(AUC)/MIC を400以上とするためには理論的にはトラフ値15~20μg/mLが必要となる。しかし腎機能正常患者では通常量の使用では達成が困難である。現在多くの施設でMIC=1μg/mL株が最も高率に分離されており,そのような施設ではルーチンに初回から常用量を超える投与が必要となってしまう。高投与量(≧4g/日)での安全性は十分臨床的に確認されているとは言いがたく,腎障害などの副作用が高率となることを認識したうえで,期待する臨床効果と天秤にかけて使用する。
f.トラフ値10~15μg/mLを目標として最初の投与設計を行い,感染巣,初回TDM 実測値,臨床経過や感染病巣の変化,分離MRSA のMIC 値を参考に,必要と判断すればその段階で15~20μg/mLに目標値を上げることを勧める。重篤な感染症や前述の複雑性感染の場合は,最初から15~20μg/mLを狙うことが必要なこともあるが,患者病態を十分把握し,腎機能障害のリスクをふまえて主治医とディスカッションしたうえで投与量を決定する。
g.早期に目標血中濃度に上げるためにはloading dose 25~30mg/kgを考慮する。
h.MIC=2μg/mLの場合は,感受性試験はSであるが,理論的にはトラフ濃度>20μg/mLが必要となり,副作用の面で実際的ではない。特にVCM 移行性の不良な肺などの感染症では代替療法を考慮する。
i.MIC≧4μg/mL は中等度感受性(I)で,黄色ブドウ球菌感染に対するVCM 治療失敗は60% に及び,他の抗MRSA 薬を選択する。
e について、当院では高齢者への使用が多い為、腎機能正常患者の方が少ないのですが、CCr=100mL/minの場合でも、1回1500mg1日2回がこれまでの上限です。先日経験しましたが、第二度熱傷の患者の血中濃度はシミュレーションと相関せず、有効域に到達させるのに苦労しました。また、小児への投与でも1日3回点滴を選択したことがあります。ここらへんは、言われている通りという感じでした。
f については、そのように実践しています。細かな病態は(特に外科では)医師と良く相談しないと把握できないこともあるので、なるべくちょっとのことでも話すようにしています。
g は行いにくいです。点滴速度にもよるとは思いますが、初回高用量でアレルギーなど起こしたくもないので、とにかく1000mg入れてもらうようにしています。あとは、投与間隔を調節して、なるべく早期に(day2には)トラフ値10~15μg/mLを目指しています。
h はいろいろと考えることがあります。今年の日本化学療法学会のランチョンで聞いたのですが、新しいSIEMENS社の測定キット(Microscan)はこれまでよりもMICが高めにでるということです。当院でも春からMicroscanを使用して、4か月の集計ですが、1μg/mLが76%、2μg/mLが23%でした。MIC が2μg/mLでも著効する例はありますので、2μg/mLが出たからといってすぐにリネゾリドを考慮することはしていません。それをしたら4人に1人がLZD?
MICについては、ちょっと調査したことがあるので、また書きます。
i は経験がありません。MIC≧4μg/mL がでたらビビるだろうなぁ。
この記事を書きながら、ポテチが無性に食べたくなり、夜中に食べてしまいました。
PC触りながらのポテチは禁忌です。
はやくコレを買おうと思います(笑)
2.TDM の目標値 つづき
e.最小発育阻止濃度(MIC)=1μg/mLの場合,有効性の指標であるArea under the curve(AUC)/MIC を400以上とするためには理論的にはトラフ値15~20μg/mLが必要となる。しかし腎機能正常患者では通常量の使用では達成が困難である。現在多くの施設でMIC=1μg/mL株が最も高率に分離されており,そのような施設ではルーチンに初回から常用量を超える投与が必要となってしまう。高投与量(≧4g/日)での安全性は十分臨床的に確認されているとは言いがたく,腎障害などの副作用が高率となることを認識したうえで,期待する臨床効果と天秤にかけて使用する。
f.トラフ値10~15μg/mLを目標として最初の投与設計を行い,感染巣,初回TDM 実測値,臨床経過や感染病巣の変化,分離MRSA のMIC 値を参考に,必要と判断すればその段階で15~20μg/mLに目標値を上げることを勧める。重篤な感染症や前述の複雑性感染の場合は,最初から15~20μg/mLを狙うことが必要なこともあるが,患者病態を十分把握し,腎機能障害のリスクをふまえて主治医とディスカッションしたうえで投与量を決定する。
g.早期に目標血中濃度に上げるためにはloading dose 25~30mg/kgを考慮する。
h.MIC=2μg/mLの場合は,感受性試験はSであるが,理論的にはトラフ濃度>20μg/mLが必要となり,副作用の面で実際的ではない。特にVCM 移行性の不良な肺などの感染症では代替療法を考慮する。
i.MIC≧4μg/mL は中等度感受性(I)で,黄色ブドウ球菌感染に対するVCM 治療失敗は60% に及び,他の抗MRSA 薬を選択する。
e について、当院では高齢者への使用が多い為、腎機能正常患者の方が少ないのですが、CCr=100mL/minの場合でも、1回1500mg1日2回がこれまでの上限です。先日経験しましたが、第二度熱傷の患者の血中濃度はシミュレーションと相関せず、有効域に到達させるのに苦労しました。また、小児への投与でも1日3回点滴を選択したことがあります。ここらへんは、言われている通りという感じでした。
f については、そのように実践しています。細かな病態は(特に外科では)医師と良く相談しないと把握できないこともあるので、なるべくちょっとのことでも話すようにしています。
g は行いにくいです。点滴速度にもよるとは思いますが、初回高用量でアレルギーなど起こしたくもないので、とにかく1000mg入れてもらうようにしています。あとは、投与間隔を調節して、なるべく早期に(day2には)トラフ値10~15μg/mLを目指しています。
h はいろいろと考えることがあります。今年の日本化学療法学会のランチョンで聞いたのですが、新しいSIEMENS社の測定キット(Microscan)はこれまでよりもMICが高めにでるということです。当院でも春からMicroscanを使用して、4か月の集計ですが、1μg/mLが76%、2μg/mLが23%でした。MIC が2μg/mLでも著効する例はありますので、2μg/mLが出たからといってすぐにリネゾリドを考慮することはしていません。それをしたら4人に1人がLZD?
MICについては、ちょっと調査したことがあるので、また書きます。
i は経験がありません。MIC≧4μg/mL がでたらビビるだろうなぁ。
この記事を書きながら、ポテチが無性に食べたくなり、夜中に食べてしまいました。
PC触りながらのポテチは禁忌です。
はやくコレを買おうと思います(笑)
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塩酸バンコマイシンVCMのTDMの基準(2) [TDM]
1.TDM 実施のタイミングに続いて書かれているのが 2.TDM の目標値です。
ここでは、a~iまで、9項目について書かれています。
内容が多いので前半の4項目について考えます。
日本化学療法学会雑誌 VOL. 58 NO. 1から
Vancomycin のTherapeutic drug monitoring(TDM)実施に関する抗菌化学療法
認定薬剤師制度認定委員会ならびに抗菌薬TDM 標準化ワーキングの見解
2.TDM の目標値
a.MRSA におけるVCM 低感受性化を避けるために,トラフ値10μg/mL以上を維持する。
b.トラフ値20μg/mL以上は腎機能障害が高率となる。
c.腎毒性のある薬物の同時投与や高投与量でなければ,通常量の使用(1 g[15~20mg/kg]×2 回/日)では腎,耳毒性の可能性はきわめて少ないが,まれに脱水や全身状態悪化により予想外に高いトラフ値を呈することがあり,患者病態の変化に注意が必要である。
d.菌血症,心内膜炎,骨髄炎,髄膜炎,院内肺炎では,良好な臨床効果を得るためにはトラフ値15~20μg/mLが必要となることが多い。ただし臨床的重症度を考慮して目標トラフ値を決定する。
aはMICクリープのこともあるので、もちろんトラフ10μg/mL以上には必ず乗せるようにしています。トラフ10以下と言っていた時代もありましたが、どんどん上がってきています。
bについてもその通りですが、トラフ値15~20μg/mLにした場合でも腎毒性を示す場合もよく経験することなので、忍容性を見ながらの慎重さが必要です。透析患者で自尿の無い患者の場合にはトラフ値20μg/mL前後でコントロールしています。
cは時に経験しますが、輸液量や尿量などしっかり見ていても予想外の血中濃度となる場合もあります。患者病態の変化がみれるよう臨床力をつけることが薬剤師の大きな課題ですね。
dでは、良好な臨床効果を得るためにはトラフ値15~20μg/mLが必要となることが多いのはそうなのですが、上記いずれの疾患も4週間や6週間コースとなるので、忍容性によって大きく左右されます。
データが改善してきても投与量を下げるわけではないので、長期投与になるにつれ、血清クレアチニンが上昇したり、トラフ値もジワジワ上昇してくることも多く、定期的な血中濃度の確認が必要です。ビクビクしながら継続投与することもあります。
ここで、休憩。。
楽天でVCMを調べてみるとこれが出ました。
おいしいコーヒーを飲んで、ちょっとブレイク。
ここでは、a~iまで、9項目について書かれています。
内容が多いので前半の4項目について考えます。
日本化学療法学会雑誌 VOL. 58 NO. 1から
Vancomycin のTherapeutic drug monitoring(TDM)実施に関する抗菌化学療法
認定薬剤師制度認定委員会ならびに抗菌薬TDM 標準化ワーキングの見解
2.TDM の目標値
a.MRSA におけるVCM 低感受性化を避けるために,トラフ値10μg/mL以上を維持する。
b.トラフ値20μg/mL以上は腎機能障害が高率となる。
c.腎毒性のある薬物の同時投与や高投与量でなければ,通常量の使用(1 g[15~20mg/kg]×2 回/日)では腎,耳毒性の可能性はきわめて少ないが,まれに脱水や全身状態悪化により予想外に高いトラフ値を呈することがあり,患者病態の変化に注意が必要である。
d.菌血症,心内膜炎,骨髄炎,髄膜炎,院内肺炎では,良好な臨床効果を得るためにはトラフ値15~20μg/mLが必要となることが多い。ただし臨床的重症度を考慮して目標トラフ値を決定する。
aはMICクリープのこともあるので、もちろんトラフ10μg/mL以上には必ず乗せるようにしています。トラフ10以下と言っていた時代もありましたが、どんどん上がってきています。
bについてもその通りですが、トラフ値15~20μg/mLにした場合でも腎毒性を示す場合もよく経験することなので、忍容性を見ながらの慎重さが必要です。透析患者で自尿の無い患者の場合にはトラフ値20μg/mL前後でコントロールしています。
cは時に経験しますが、輸液量や尿量などしっかり見ていても予想外の血中濃度となる場合もあります。患者病態の変化がみれるよう臨床力をつけることが薬剤師の大きな課題ですね。
dでは、良好な臨床効果を得るためにはトラフ値15~20μg/mLが必要となることが多いのはそうなのですが、上記いずれの疾患も4週間や6週間コースとなるので、忍容性によって大きく左右されます。
データが改善してきても投与量を下げるわけではないので、長期投与になるにつれ、血清クレアチニンが上昇したり、トラフ値もジワジワ上昇してくることも多く、定期的な血中濃度の確認が必要です。ビクビクしながら継続投与することもあります。
ここで、休憩。。
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コーヒーミル (VCM8)ビタン... 価格:3,700円(税込、送料別) |
おいしいコーヒーを飲んで、ちょっとブレイク。
塩酸バンコマイシンVCMのTDMの基準(1) [TDM]
基本的には、日本化学療法学会の見解をもとに行うようにしています。
しかし、実際には多くの問題が、それを邪魔してしまう現状が。。。
まず、参考に、 日本化学療法学会雑誌 VOL. 58 NO. 1から
Vancomycin のTherapeutic drug monitoring(TDM)実施に関する抗菌化学療法
認定薬剤師制度認定委員会ならびに抗菌薬TDM 標準化ワーキングの見解
まず初めに書かれているのがTDM実施のタイミング。
TDMを行う上では基本中の基本なのですが。
1.TDM 実施のタイミング
a.投与時刻,投与量と点滴時間,採血時刻は正確に把握する。
b.血中濃度は,原則として定常状態で採血する。トラフ値は投与前30分以内に採血を実施する。ピーク値は,組織分布が完了した時点における血中濃度とし,点滴終了後1~2時間で採血を行う。
c.通常,1回のTDM で必要とする採血ポイントは,2ポイント以下とする。原則としてトラフ値を測定し,必要に応じてピーク値を測定する。
d.定常状態に達するためには,最低3回投与が必要(4回投与直前のトラフ値)で,通常2~3日間使用後にTDMを行う。その後は1週間に1回のTDM 実施が推奨されている。ただし1 回目のTDM にて投与計画を変更した場合や血行動態が不安定な症例では,より頻回の測定が必要である。
aについては当然なのですが、当院では採血は看護師がおこなっており、これがどうにもうまくいきません。わざわざ採血オーダーコメントにVCM投与前と書いているのに点滴3時間前など、他の患者とまとめて採血をしてしまいます。まぁその都度確認をしていくようになるのですが、少し、ズレが生じてしまいます。
bについて説明をすれば、朝一番にまとめて採血をして、その後にVCMを投与していて驚きました。確かに投与前30分以内になるのですが、点滴時間を12時間毎としているものが、その時は9時間後となり、意図した血中濃度推移を達成できなくなります。
a・bについては、もっと啓発しないといけませんが、不可解な看護師の動きを読むこともTDMを行う上で必要なスキルとなっています(笑)
dは、自分の仕事としてよく考えないといけない内容だと思います。実際に定常状態に到達するのに4回投与直前のトラフ値では、まだ到達していないという現状があります。当院でも高齢者ヘの投与が増加しており、1日2回点滴できる患者の割合のほうが少なくなりつつあります。
しかし、予測したクリアランスと大きくズレることもありますので、4回投与直前のトラフ値をまず測定して過度の蓄積のないこととクリアランスを確認して補正するようにしています。
長くやっていると、病態を見てある程度の予測はできますが、ここが腕の見せ所かとも思います。
しかし、実際には多くの問題が、それを邪魔してしまう現状が。。。
まず、参考に、 日本化学療法学会雑誌 VOL. 58 NO. 1から
Vancomycin のTherapeutic drug monitoring(TDM)実施に関する抗菌化学療法
認定薬剤師制度認定委員会ならびに抗菌薬TDM 標準化ワーキングの見解
まず初めに書かれているのがTDM実施のタイミング。
TDMを行う上では基本中の基本なのですが。
1.TDM 実施のタイミング
a.投与時刻,投与量と点滴時間,採血時刻は正確に把握する。
b.血中濃度は,原則として定常状態で採血する。トラフ値は投与前30分以内に採血を実施する。ピーク値は,組織分布が完了した時点における血中濃度とし,点滴終了後1~2時間で採血を行う。
c.通常,1回のTDM で必要とする採血ポイントは,2ポイント以下とする。原則としてトラフ値を測定し,必要に応じてピーク値を測定する。
d.定常状態に達するためには,最低3回投与が必要(4回投与直前のトラフ値)で,通常2~3日間使用後にTDMを行う。その後は1週間に1回のTDM 実施が推奨されている。ただし1 回目のTDM にて投与計画を変更した場合や血行動態が不安定な症例では,より頻回の測定が必要である。
aについては当然なのですが、当院では採血は看護師がおこなっており、これがどうにもうまくいきません。わざわざ採血オーダーコメントにVCM投与前と書いているのに点滴3時間前など、他の患者とまとめて採血をしてしまいます。まぁその都度確認をしていくようになるのですが、少し、ズレが生じてしまいます。
bについて説明をすれば、朝一番にまとめて採血をして、その後にVCMを投与していて驚きました。確かに投与前30分以内になるのですが、点滴時間を12時間毎としているものが、その時は9時間後となり、意図した血中濃度推移を達成できなくなります。
a・bについては、もっと啓発しないといけませんが、不可解な看護師の動きを読むこともTDMを行う上で必要なスキルとなっています(笑)
dは、自分の仕事としてよく考えないといけない内容だと思います。実際に定常状態に到達するのに4回投与直前のトラフ値では、まだ到達していないという現状があります。当院でも高齢者ヘの投与が増加しており、1日2回点滴できる患者の割合のほうが少なくなりつつあります。
しかし、予測したクリアランスと大きくズレることもありますので、4回投与直前のトラフ値をまず測定して過度の蓄積のないこととクリアランスを確認して補正するようにしています。
長くやっていると、病態を見てある程度の予測はできますが、ここが腕の見せ所かとも思います。
図解よくわかるT... 価格:3,780円(税込、送料別) |
自分のこととブログについて [雑記]
病院薬剤師として、仕事をしております。
ほぼ毎日、薬剤管理指導業務とTDM、そして抗菌薬管理に仕事を費やしています。
ボスが認定を取れ!認定を取れ!とうるさいので、感染制御ではなく、日本化学療法学会の
『 抗菌化学療法認定薬剤師 』を今年取得することができました。
職場ではICTにも所属しているので、流れ的には日本病院薬剤師会の『 感染制御認定薬剤師 』
なのでしょうが、どうにも魅力がない・・・
内輪の団体の認定制度が内輪でしか認められないような、、、そんなイメージがあります。
そして何より、日本化学療法学会の方がカッコいい気がして(笑) というよりは、
仕事に直結して活かせることができるように思います。
TDMなどをしていると、徐々に抗菌化学療法についても医師から相談が来るようになりました。
相談が来るということは、医師も困っているということですから、難解ですし、また、やりがいもあります!
そんな日々の中で、抗菌化学療法に関するメモとしてだらだらと書きとめていきたいと思います。
ほぼ毎日、薬剤管理指導業務とTDM、そして抗菌薬管理に仕事を費やしています。
ボスが認定を取れ!認定を取れ!とうるさいので、感染制御ではなく、日本化学療法学会の
『 抗菌化学療法認定薬剤師 』を今年取得することができました。
職場ではICTにも所属しているので、流れ的には日本病院薬剤師会の『 感染制御認定薬剤師 』
なのでしょうが、どうにも魅力がない・・・
内輪の団体の認定制度が内輪でしか認められないような、、、そんなイメージがあります。
そして何より、日本化学療法学会の方がカッコいい気がして(笑) というよりは、
仕事に直結して活かせることができるように思います。
TDMなどをしていると、徐々に抗菌化学療法についても医師から相談が来るようになりました。
相談が来るということは、医師も困っているということですから、難解ですし、また、やりがいもあります!
そんな日々の中で、抗菌化学療法に関するメモとしてだらだらと書きとめていきたいと思います。