塩酸バンコマイシンVCMのTDMの基準(1) [TDM]

基本的には、日本化学療法学会の見解をもとに行うようにしています。
しかし、実際には多くの問題が、それを邪魔してしまう現状が。。。

まず、参考に、 日本化学療法学会雑誌 VOL. 58 NO. 1から

Vancomycin のTherapeutic drug monitoring(TDM)実施に関する抗菌化学療法
 認定薬剤師制度認定委員会ならびに抗菌薬TDM 標準化ワーキングの見解

まず初めに書かれているのがTDM実施のタイミング。
TDMを行う上では基本中の基本なのですが。

       1.TDM 実施のタイミング
a.投与時刻,投与量と点滴時間,採血時刻は正確に把握する。
b.血中濃度は,原則として定常状態で採血する。トラフ値は投与前30分以内に採血を実施する。ピーク値は,組織分布が完了した時点における血中濃度とし,点滴終了後1~2時間で採血を行う。
c.通常,1回のTDM で必要とする採血ポイントは,2ポイント以下とする。原則としてトラフ値を測定し,必要に応じてピーク値を測定する。
d.定常状態に達するためには,最低3回投与が必要(4回投与直前のトラフ値)で,通常2~3日間使用後にTDMを行う。その後は1週間に1回のTDM 実施が推奨されている。ただし1 回目のTDM にて投与計画を変更した場合や血行動態が不安定な症例では,より頻回の測定が必要である。

aについては当然なのですが、当院では採血は看護師がおこなっており、これがどうにもうまくいきません。わざわざ採血オーダーコメントにVCM投与前と書いているのに点滴3時間前など、他の患者とまとめて採血をしてしまいます。まぁその都度確認をしていくようになるのですが、少し、ズレが生じてしまいます。
bについて説明をすれば、朝一番にまとめて採血をして、その後にVCMを投与していて驚きました。確かに投与前30分以内になるのですが、点滴時間を12時間毎としているものが、その時は9時間後となり、意図した血中濃度推移を達成できなくなります。

a・bについては、もっと啓発しないといけませんが、不可解な看護師の動きを読むこともTDMを行う上で必要なスキルとなっています(笑)

dは、自分の仕事としてよく考えないといけない内容だと思います。実際に定常状態に到達するのに4回投与直前のトラフ値では、まだ到達していないという現状があります。当院でも高齢者ヘの投与が増加しており、1日2回点滴できる患者の割合のほうが少なくなりつつあります。

しかし、予測したクリアランスと大きくズレることもありますので、4回投与直前のトラフ値をまず測定して過度の蓄積のないこととクリアランスを確認して補正するようにしています。

長くやっていると、病態を見てある程度の予測はできますが、ここが腕の見せ所かとも思います。

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