塩酸バンコマイシンVCMのTDMの基準(3) [TDM]

2.TDM の目標値の続きです。ここからがさらに重要です。

       2.TDM の目標値 つづき

e.最小発育阻止濃度(MIC)=1μg/mLの場合,有効性の指標であるArea under the curve(AUC)/MIC を400以上とするためには理論的にはトラフ値15~20μg/mLが必要となる。しかし腎機能正常患者では通常量の使用では達成が困難である。現在多くの施設でMIC=1μg/mL株が最も高率に分離されており,そのような施設ではルーチンに初回から常用量を超える投与が必要となってしまう。高投与量(≧4g/日)での安全性は十分臨床的に確認されているとは言いがたく,腎障害などの副作用が高率となることを認識したうえで,期待する臨床効果と天秤にかけて使用する。
f.トラフ値10~15μg/mLを目標として最初の投与設計を行い,感染巣,初回TDM 実測値,臨床経過や感染病巣の変化,分離MRSA のMIC 値を参考に,必要と判断すればその段階で15~20μg/mLに目標値を上げることを勧める。重篤な感染症や前述の複雑性感染の場合は,最初から15~20μg/mLを狙うことが必要なこともあるが,患者病態を十分把握し,腎機能障害のリスクをふまえて主治医とディスカッションしたうえで投与量を決定する。
g.早期に目標血中濃度に上げるためにはloading dose 25~30mg/kgを考慮する。
h.MIC=2μg/mLの場合は,感受性試験はSであるが,理論的にはトラフ濃度>20μg/mLが必要となり,副作用の面で実際的ではない。特にVCM 移行性の不良な肺などの感染症では代替療法を考慮する。
i.MIC≧4μg/mL は中等度感受性(I)で,黄色ブドウ球菌感染に対するVCM 治療失敗は60% に及び,他の抗MRSA 薬を選択する。


e について、当院では高齢者への使用が多い為、腎機能正常患者の方が少ないのですが、CCr=100mL/minの場合でも、1回1500mg1日2回がこれまでの上限です。先日経験しましたが、第二度熱傷の患者の血中濃度はシミュレーションと相関せず、有効域に到達させるのに苦労しました。また、小児への投与でも1日3回点滴を選択したことがあります。ここらへんは、言われている通りという感じでした。

f については、そのように実践しています。細かな病態は(特に外科では)医師と良く相談しないと把握できないこともあるので、なるべくちょっとのことでも話すようにしています。

g は行いにくいです。点滴速度にもよるとは思いますが、初回高用量でアレルギーなど起こしたくもないので、とにかく1000mg入れてもらうようにしています。あとは、投与間隔を調節して、なるべく早期に(day2には)トラフ値10~15μg/mLを目指しています。

h はいろいろと考えることがあります。今年の日本化学療法学会のランチョンで聞いたのですが、新しいSIEMENS社の測定キット(Microscan)はこれまでよりもMICが高めにでるということです。当院でも春からMicroscanを使用して、4か月の集計ですが、1μg/mLが76%、2μg/mLが23%でした。MIC が2μg/mLでも著効する例はありますので、2μg/mLが出たからといってすぐにリネゾリドを考慮することはしていません。それをしたら4人に1人がLZD?
MICについては、ちょっと調査したことがあるので、また書きます。

i は経験がありません。MIC≧4μg/mL がでたらビビるだろうなぁ。

この記事を書きながら、ポテチが無性に食べたくなり、夜中に食べてしまいました。
PC触りながらのポテチは禁忌です。

はやくコレを買おうと思います(笑)



タグ:TDM VCM mic
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